奇跡の7分間
社員ブログ ~みんなが主役~ 2019年7月4日
この写真は出張帰りの東京駅で、ホームに入線してくる新幹線を撮ったものです。列車は長野から「あさま」としてやってきて、車内清掃を終えた後、「かがやき」となって金沢へ向かうのですが、列車を撮りたかったわけではありません。列車を出迎えるように等間隔でホームに立つ車両清掃スタッフたち。彼らこそ、この写真、そして表題の「奇跡の7分間」の主役なのです。
彼らの所属は「テッセイ」。今は「JR東日本テクノハート」が正式名称ですが、旧「国鉄」時代以来の元の社名「鉄道整備株式会社」の略称を今でも愛着込めて使っているのだそうです。清掃スタッフと紹介しましたが、その仕事は客室内の清掃だけではありません。忘れ物のチェックから、ゴミだし、座席カバーの交換にトイレ掃除など、その範囲は広く、しかもそれらの仕事を彼らは短時間に完璧にこなしています。新幹線が東京駅に到着し、折り返しの発車までの時間は通常15分間。そのうち、乗客の降車に5分、また折り返しの乗車に3分の時間が充てられます。したがって、残りの7分間が彼らに与えられた時間で、その間にすべての仕事と仕上がりのチェックを終えなければなりません。彼らは手際よく、迅速かつてきぱきと無駄のない行動で仕事をこなします。そして完了後、整列してさわやかに一礼。その鮮やかともいえる仕事ぶりこそ「奇跡の7分間」と称賛される由縁なのです。さらに、彼らの仕事意識は清掃業務だけに留まりません。高齢者や急病人の介助、東京駅構内はもちろん周辺施設の道案内などコンシェルジュさながらなのです。いつしかその仕事ぶりは海外にも紹介され、その姿にカメラを向ける外国人も増えているそうですが、それもそのはず、ハーバード大学ビジネススクールの教材としても使われているというから驚きです。
さて昨今、企業が抱える重要な課題が「働き方改革」です。これまでの話は彼らの取り組みを働き方改革事例として、テッセイのOBであり彼らの生みの親である矢部輝夫氏により紹介されたものです。このすばらしい「職場」の誕生には矢部氏の指導もさることながら、スタッフの方々の並々ならぬ努力と意識改革があったといいます。セミナーではその過程がつぶさに紹介され、感動をもって拝聴した次第ですが、東京駅で、彼らの仕事ぶりの一部始終を直に眺めながら、その感動が本物だったことをあらためて実感した次第です。
ともすると、「時短」だけにとらわれそうになる「働き方改革」ですが、矢部氏が、まず彼らスタッフと共に始めたことは、仕事の「誇り」と「生きがい」を再定義することだったといいます。そして、この印象的なセミナーの最後を矢部氏はこんな言葉で締めくくっていました。「人は経営資源ではない。経営主体そのものである」と。 T.O.